[原子力産業新聞] 2007年12月20日 第2409号 <6面>

がん造影剤の輸入 カナダ炉停止で緊迫 モリブデン製造を再開

カナダ原子力公社(AECL)のラジオアイソトープ生産炉(NRU)が停止したことによって、特に世界の約50%を供給している、がんの診断薬(テクネチウム造影剤)の原料となるモリブデン99の供給が長期的に不足するのではないかとの懸念が広がっていたが、カナダ議会が12日、運転を120日間暫定的に認める緊急法案を可決し、カナダ原子力安全委員会(リンダ・キーン委員長)の停止決定を棚上げする形で、運転再開を許可したことから一応解決し、日本でも供給が一時停止されていた製品も、すべての製品が納入可能となった。

カナダのオンタリオ州チョークリバーにあるNRU炉は運転して約50年が過ぎ老朽化しており、カナダ原子力安全委員会による11月の立ち入り調査で、緊急時冷却系のポンプ起動電源が独立系統になっていないことがわかり、同月18日から停止させられた。モリブデン99の半減期が約66時間、テクネチウム造影剤が同約6時間で、すぐに効用がなくなってしまうため、在庫を持つことができない。

同炉は16日に運転を再開し、4日以内にモリブデン99の供給が各国に開始される。


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