[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <11面>

静岡地裁で勝訴判決 設計、工法、維持管理も十分

 

2006年の原子力安全委員会による新耐震設計審査指針の制定を挟んで、2002年および03年、反対派により組織された市民団体から、浜岡1〜4号機運転差止の仮処分・本訴訟を静岡地裁へ提訴された。また07年7月に新潟県中越沖地震が発生した。

裁判で原告側は、@想定東海地震によって中部電力の想定を上回るマグニチュード9クラスの巨大地震が発生し、発電所が壊れるA老朽化を避けることはできず、耐震安全上不利に働く――と主張し、「想定を超える東海地震により、多数の機器が同時に損傷する可能性が高く、安全審査ではその前提で安全性が確認されておらず、地震時に重大事故に至る可能性がある」というもの。

これに対し中部電力側は、想定東海地震は、過去の記録、地震観測網などによる多くの知見などにより、その「地震像」が明確になっていると指摘し、@想定東海地震(マグニチュード8.0)はもとより、それを上回るマグニチュード8.4のプレート境界型地震である安政東海地震(1854年発生)にさらに余裕をみた地震動に対して耐震安全性を確保A新耐震指針に照らして、新たな基準地震動Ss(最大加速度800ガル)を用いて評価し、3、4号機については評価結果を国に報告済みB経年変化事象に対しては、設計や工法の工夫、機器の維持管理などにより、耐震性に影響を及ぼさないように対処できる――などと主張。

このことは専門家の証言などで十分立証できるとし、結果、浜岡原子力発電所は「大地震が発生したとしても、安全性は確保される」と訴えて、裁判でも認められた。

一方、中越沖地震について、静岡地裁の仮処分判決では、原子力発電所の耐震設計上の想定が絶対万全なものではなく、「想定を越える地震動」が発生する危険があることを改めて示したもの、と指摘したものの、それでも、そのことを前提にしたとしても、浜岡発電所と立地条件や耐震設計の方法が異なる柏崎刈羽発電所の事例をもって、直ちに浜岡の耐震設計が不十分であると考えることはできない、との明確な判断を下している。

また、柏崎刈羽発電所では、原子炉停止系等が機能して原子炉が自動停止し、炉心溶融やその他の重大事故の発生は未然に防止され、「原子炉施設の安全性」は確保されたと考えることができる、としている。


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