[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <13面>

【企画記事】「もんじゅ」、今年運転再開へ 今秋、再び臨界、「性能試験」入りの運び 進むプラントの健全性確認 FBR開発の意義を再認識

日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(電気出力28万kW、敦賀市、写真)は、昨夏、改造工事を終え、現在、長期間停止を踏まえて、プラントの健全性を確認する「プラント確認試験」を12か月の予定で実施している。そして、今年、「プラント確認試験」を終えると、いよいよ臨界、「性能試験」、つまり原子力発電所でいうところの試運転に入る。(石川公一記者)

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「『もんじゅ』はどーなってんのぅ!」昨年、日本学術会議で行われた総合シンポジウムでの高速増殖炉サイクル開発に関する講演を受け、会場参加者から声が飛んだ。

昨年は、高速増殖炉開発で、エンジニアリングを行う中核企業に三菱重工が選定されるなど、実証段階に向けての進展が見られた。今後は、原子力機構と三菱重工とが、車の両輪となって、この国家基幹技術を実用化に向け走らせていくことだろう。

しかし、その前に「もんじゅ」を忘れてはならない。一昨年末に原子力委員会が示した「高速増殖炉サイクル技術の今後10年程度の間における研究開発に関する基本方針」では、「安全の確保を大前提に、それに関する立地地域住民の相互理解活動を進めて、2008年度に高速増殖原型炉『もんじゅ』の運転を再開」などとうたわれている。また、近藤駿介同委員長も、昨年11月に大阪で開催された原子力機構セミナーの席上、インド、ロシアでの高速増殖炉開発進展を背景に、国際社会にとって魅力ある研究開発の場となるよう、「もんじゅ」の運転再開の必要を述べている。

「もんじゅ」は昨年5月、05年9月に着工したナトリウム漏えい対策等に係わる改造工事を終え、二次主冷却系のナトリウム充填が開始、工事を実施した機器・設備について、機能・性能を確認する「工事確認試験」が昨年8月に終了し、現在、プラント全体の健全性確認を行う「プラント確認試験」に入っている。「プラント確認試験」では、@燃料の取扱いA原子炉の制御B原子炉の冷却C蒸気発生器の監視D放射性物質の閉じ込めE非常用電源設備F放射線監視・管理――について、機能・性能を確認するが、12月21日現在、全141項目中36項目が終了している。

また、長期停止により、炉心に装荷されている燃料のPu241がAm241に変化し、炉心反応度が低下しているため、燃料取替に係わる原子炉設置許可を一昨年、国に申請しており、現在、安全審査中だ。

今年は、「プラント確認試験」を8月頃終了し、制御棒駆動機構の作動確認や系統別の弁や電源等の状況を確認する性能試験前準備点検を経て、10月に臨界、「性能試験」に入る予定となっている。


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