[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <2面>

原子力委 地球環境とエネ安定供給 ビジョン懇報告書取りまとめへ 環境NPOなどからも意見聴取

原子力委員会の地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会は、12月20日、第5回会合を開催、報告書に盛り込むべき視点を検討するとともに、2つの特定非営利活動法人(NPO)から意見を聞いた。

同懇談会では、これまでの意見交換で「原子力は地球温暖化対策やエネルギーの安定供給に重要な存在である」との認識で一致。ただ原子力を「切り札」や「基幹的存在」に位置付ける考え方とともに、こうした位置付けにするには国民合意などが不足との指摘、あるいは原子力も重要な対策の1つに位置付けるとの考え方も出されている。

今会合でも、原子力は両課題への切り札であり、国内の新増設計画の実行とともに、地球規模での温暖化防止に向け原子力技術の世界的な普及が重要で、CDM対象とするための積極的な働きかけを実施するとともに、FBR開発も重要とする考え方が多く出された。また、将来的には水素社会に貢献できるとの視点も必要になる。

一方、原子力を対策の基幹的存在にするには国民合意や国際的合意が不足しており、この合意形成に向けた努力が必要との意見も出された。

NPOは、気候ネットワークの浅岡美恵代表と環境文明21の藤村ユノヱ共同代表が意見を述べ、浅岡代表は「原子力は信頼を失っており、他の温暖化防止技術と競うのは当分難しいのではないか」とし、藤村共同代表は「原子力は放射性廃棄物、長期的管理体制、核拡散などの課題に答えられない限り、将来的には廃止の方向が望ましい」などとした。


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