[原子力産業新聞] 2008年1月10日 第2411号 <1面>

超伝導素線・撚線など 原子力機構が一般競争入札 世界に先駆け入札開始 ITER用トロイダル・コイルまず2個分

国際熱核融合実験炉(ITER)の実施機関「イーター国際核融合エネルギー機構」の国内機関に国から指定されている日本原子力研究開発機構が、世界7極に先駆けて機器製造に着手し、まず高温プラズマを磁場で閉じ込めるトロイダル・コイルの作製のため、一般競争入札を開始した。日本は同コイル全19個のうち9個分を実物納入することになっており、今回はそのうちの2個分の超伝導コイル部品。

12月26日付けの官報(号外政府調達第240号)で一般競争入札を公示した。

それによると、トロイダル・コイル用ニオブ3スズの素線(1)、(2)、同撚線(1)、超伝導コイル用導体の各一式の4つに分けて入札する。応札締切りはいずれも3月3日、開札は同月11日。

入札条件としては、@製造物に関する技術水準が高く、かつ製造実績があることA製造物品に関する迅速なアフターサービス・メンテナンスの体制が整備されていること――などで、落札者の決定は「予定価格の制限の範囲内で最低価格をもって有効な入札を行った入札者」としている。

入札説明書(詳細仕様書を含む)の交付、問い合せ先、入札書の提出先はいずれも茨城県東海村の同機構本部。

超伝導素線の製作と、その素線を束ねて撚線を作ることは電線メーカーに、冷却および電磁力支持のために撚線をステンレス保護管で覆って導体を完成させるまでをエンジニアリング会社に期待している。その後、入札を重ねさらに大型コイルに仕上げていくためには、重工・重電・鉄鋼会社などの手を経て、縦14メートル、横幅9メートルのトロイダル・コイルとしていく。

物品はいずれも茨城県の同機構・那珂核融合研究所へ納入。納期は、素線と撚線が2010年3月、導体が14年3月。

原子力機構では、来年度以降も次々とITER建設スケジュールに合わせて、ブランケット、ブランケット遠隔保守機器、ダイバータ、高周波加熱装置、プラズマ計測装置など日本分担分機器の入札を行っていく。

ITERはフランスのカダラッシュに建設され、建設費は10年間で約7,000億円〜8,000億円と見積もられ、日本の費用分担は全体の9.1%。調達分担は欧州からの割譲分を含め11分の2(約18.2%)で、単純計算すると1,300億円〜1,500億円を国際入札も含め、一般競争入札することになる。


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