[原子力産業新聞] 2008年1月10日 第2411号 <3面>

脱原子力の見直しを要望 今年3月の総選挙をにらみ、スペイン産業界

スペインの原子力産業団体であるフォロ・ヌクレアールは12月26日、既存炉の運転継続と新規原子力発電所の建設を求める声明を発表した。

スペインでは3月8日に総選挙が実施される。今回の声明は、次期政権に向けたメッセージの色合いが濃く、原子力の役割について再確認するためのディベートを実施するよう求めている。

スペインでは8基、合計出力772万7,800kWの原子力発電所が運転中で、2007年の総発電電力量に占める原子力シェアは約20%。フォロ・ヌクレアールはこれら既存炉の運転継続だけでなく、新規に1,000万kW分の原子力発電設備容量が必要になると指摘している。

脱原子力政策を掲げるスペインでは、2006年4月、最も古いホセカブレラ原子力発電所(PWR、16万kW)が閉鎖された。強硬な反原子力論者であるサパテロ首相は、同発電所の代替として原子力発電所を新規に建設する計画を却下し、天然ガス火力発電所で代替する方針を示した。サンタ・マリアデガローニャ原子力発電所(=写真 BWR、46万6,000kW)も2009年に運転認可が失効するため、所有・運転者であるエンデサ社とイベルドローラ社が2019年までの運転認可延長を申請中だ。

スペイン政府は2005年7月、同国の総発電設備容量に占める原子力シェアを2011年までに10〜16.5%に削減する計画を発表した。しかし京都議定書に規定された同国のCO排出量削減目標の達成には原子力が不可欠なことから、その実現性は疑問視されている。なおOECD国際エネルギー機関(IEA)は2005年10月、報告書の中で、スペインの脱原子力政策を「地球温暖化防止に対する意識に欠ける」と厳しく批判している。


Copyright (C) 2008 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.