[原子力産業新聞] 2008年1月17日 第2412号 <7面>

国際問題研 核と平和利用で提言 温暖化対策に不可欠

外務省所管の財団法人・日本国際問題研究所は9日、原子力の平和利用の国際的推進のための政策提言「持続可能な未来のための原子力」を取りまとめ、高村正彦・外相に提出した。原子力を温暖化対策のクリーン技術として地球規模の枠組みの中に統合することも求めている。

同研究所が06年8月に設置した新しい核の秩序に関するタスクフォース(座長=遠藤哲也・元原子力委員長代理)が作成した。

提言は、(1)原子力平和利用の国際的推進のための枠組み作り(2)原子力を地球温暖化対策の手段として位置付ける(3)不拡散努力の強化C核の脅威の削減――に分類し、合わせて13項目からなる。

枠組み作りでは、原子力発電に安全・セキュリティ・不拡散(保障措置)の3つの観点による「3S」概念を導入し、原子力導入国への協力を推進するとともに、資金調達や安全と原子力賠償への取組みでも国際社会が支援する必要がある、としている。

温暖化対策では、京都議定書以後において原子力もクリーンな技術に位置付け、その活用を地球規模の環境対策の枠組みの中に統合すべきと提起。不拡散ではIAEAの追加議定書を原子力分野の国際取引の条件にするとともに、不拡散促進と原子力の便益の享受を同時に追求する観点から、燃料供給保証と多国間アプローチを進める必要があるとした。

また、核の脅威の削減では軍事用、民生用双方の核活動、特に核ドクトリン(政策)や原子力計画の透明性を強化すべきなどとしている。


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