[原子力産業新聞] 2008年1月17日 第2412号 <8面>

地震調査委 中越沖地震の評価まとめる X字型の断層活動が発生

政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会(委員長=阿部勝征・東大名誉教授)は11日、中越沖地震について、主に南東傾斜の逆断層運動により発生し、震源域北東部では北西傾斜の断層も活動した、とする総合評価を取りまとめた。

同評価は東大地震研究所、国土地理院、産業技術総合研究所などによる余震分布、海上音波探査、GPS観測などの解析に基づくもの。

それによると、同地震で推定される概ね滑り量1m以上の主要な断層の滑り面は、南東傾斜(海から陸に向かって深くなる傾斜)が幅14km、長さ27km(=図)、震源域北東部で活動した北西傾斜(陸から海に向かって深くなる傾斜)が幅12km、長さ10kmと推定している。

余震は660回の分布を分析しており、全体的な傾向として南東傾斜の断層面上で発生、北西傾斜の面上でも起きているとした。余震発生地点は、本震発生地点から陸に沿って南西側20数kmに集中しており(=図)、一部陸域でも観測している。

同委員会では、南東傾斜の滑りと北西傾斜の滑りがほぼ同時に、「X」字型に発生したとする点について、地殻の弱い場所で発生し易い事象と説明。併せて、今回の地震で海底でのずれは直接確認されていないが、余震分布から推定される南東傾斜の断層面の浅部延長は、既知の活断層に連続している可能性があると指摘。今回の断層は、東京電力が03年の再評価で活断層と判断していた「F−B断層」などに連続している可能性があることを示唆した。

なお柏崎刈羽原子力発電所は本震の南に位置し、震央距離が16km。


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