[原子力産業新聞] 2008年1月24日 第2413号 <1面>

原子力機構 欧州連合と共同で JT−60 大改造で入札開始 長年の夢 超伝導化へ

日本原子力研究開発機構が国際熱核融合実験炉(ITER)の建設に向けて日本分担機器の入札を開始したのに続いて、今度はITERや次世代の核融合原型炉建設に向けた研究開発を行う欧州連合との「幅広いアプローチ(BA)」合意に基づく、国内対応の先駆けとして、臨界プラズマ試験装置(JT−60、茨城県那珂市)の解体・再構築とも言えるコイルの超伝導化改修などに着手した。同事業は「サテライト・トカマク事業」と呼ばれるもので、7年で建設、3年運転の計画で行うもの。日本が計217億円、欧州連合が1億6,000万ユーロ相当の物納を分担して行うことになっている。

日本側は、本体では超伝導ポロイダルコイル、真空容器、真空容器内機器、計測装置の改造など、そのほかコイル電源の改造、高周波加熱装置の新設、遠隔保守装置、中性粒子ビーム入射装置の改造などを担当し、全体の組立てまでを行う。

欧州側は、冷凍機、新設高周波加熱装置、超伝導トロイダルコイルなどを担当する。生まれ変る装置は「JT−60SA」(右予想図)と呼ばれる。

原子力機構は1月17日付けの官報(号外政府調達第7号)で、10案件に分けて一般競争入札を公示した。真空容器製作一式、同板材一式、中心ソレノイド用超伝導撚線一式、平行磁場コイル用超伝導撚線一式などで、応札締切りはいずれも3月14日、開札は同18日または19日。

物品の納入はいずれも茨城県の同機構・那珂核融合研究所へ。納入時期は早いもので真空容器用板材一式が今年10月31日まで、遅いものでは2012年3月までなどとなっている。

BA事業全体では日本側が総額460億円、欧州側が3億3,900万ユーロを出資する。


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