[原子力産業新聞] 2008年1月24日 第2413号 <2面>

原子力委員会政策評価部会 廃棄物の政策評価を開始 高レベル、段階的処分の意見も

原子力委員会の政策評価部会は18日、「放射性廃棄物の処理・処分」に関する第1回会合を開催、高レベルからRI・研廃まで全ての放射性廃棄物を対象に、各種政策の評価を開始した。関係機関からのヒアリングや議論とともに、今年3月に「ご意見を聴く会」を開催、同5月頃までに報告書を取りまとめる。

今会合では原子力委員会、原子力安全委員会、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、文部科学省からヒアリング。

エネ庁は、昨年11月のエネ調・放射性廃棄物小委の中間とりまとめ以降の最終処分の取組み強化策の状況について、@都道府県単位の説明会を年度内に10か所、NPOと連携したワークショップを同5か所開催A地層処分概念の実規模実証設備の設置や長期安全性シミュレーションツール構築などのため、来年度政府予算案で4.5億円を計上――などを説明。

保安院は各種処分に係わる規制制度の検討状況、文科省はRI・研廃への取組みを説明した。

RI・研廃は原子力機構が処分実施主体となり、廃棄物発生者は同機構に埋設処分を委託する体制にする。このため来年度の政府予算案で、原子力機構に処分事業の積立金として43億円を計上。併せて文科省は今通常国会に、同機構が実施主体となるための原子力機構法の一部改正法案を提出する予定で、「早期提出のため、現在政府内で調整中」と説明した。

委員からは、「最終処分は発電所立地自治体として心配しており、国が前面に出るべき」(河瀬一治・全原協会長)、「ウラン廃棄物、RI・研廃の二重規制(障防法と医療法)、有害物質を含む放射性廃棄物への対応が必要」(石榑顕吉・日本アイソトープ協会常務理事)、「縦割り行政であり、全体のコントロール機能が必要。高レベルの最終処分には立地地域に抵抗感があり、余裕深度処分のような中間的処分の方策を提案したい。段階的に合意を得るべき」(内山洋司・筑波大教授)、「原子力委で高レベルの回収可能性、より合理的規制などの検討を」(井川陽次郎・読売新聞論説委員)、「大学もRI・研廃の積立金が必要」(出光一也・九大院教授)、「原子力機構の運営費が減少、研究者も外部に出ており人材育成の点でも問題」(長崎晋也・東大院教授)などの意見が出された。


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