[原子力産業新聞] 2008年2月14日 第2416号 <3面> |
加NB州 FS報告書を受領 エネルギー・ハブ化構想実現へ前進カナダ・ニューブランズウィック州政府は4日、ポイントルプロー原子力発電所2号機の増設に向けたフィージビリティ・スタディ(FS)報告書を受領したと発表した。今後、州政府は同FS報告書をレビューすることになるが、S.グラハム州首相は、「ニューブランズウィック州のエネルギー自給体制を確立するとともに、国際規模のエネルギー供給源となりうる」と指摘し、増設に前向きな姿勢を示した。 同FSは、コンソーシアム「チームCANDU」が昨年8月より半年かけて実施したもので、ACR1000型炉(120万kW規模)の採用を前提に、同2号機の技術面・事業面での成立可能性や環境面や地域経済に与える影響などを検討した。 州政府は同FSと並行して、第三者機関であるMZコンサルティング社に、2号機増設の事業実現可能性を多角的なアプローチから判断するバイアビリティ・スタディ(VS)を委託。同VSは、「一定の条件下において、2号機増設は事業として実現可能」と結論している。そのため同州のJ.キアー・エネルギー大臣は、「チームCANDUのFSを詳細に検討し、VSが指摘する事業成立条件に合致するかどうかを見極めたい」と同FSのレビューに意欲を示している。 MZコンサルティング社は、2号機の電力は、米国ニューイングランド地方への輸出だけでなく、およそ半分をニューブランズウィック州、ノバスコシア州、プリンス・エドワード・アイランド州の3州で、石油火力・石炭火力の代替として利用することが可能と指摘。3州がいずれも石油火力や石炭火力への依存率が高いことから、「環境面に配慮すると、大型水力か大型原子力が必要となる」とした。 その一方で、米国への輸出の問題点として、@送電インフラが未整備A米国向け電力市場では長期売電契約の締結が困難――の2点を挙げた。 またプロジェクト自体の問題点として、@プロジェクトへの州政府の関与がなく民間資本に丸投げであること(カナダでは例のない形態で、長期投資家の確保ならびに親会社や政府からの支援の取付けが必要)AACR1000は設計段階の新型炉で運転実績がない(初号機ならではの費用が発生)――等を指摘。経済面での事業成立性は「建設コストと電力価格動向次第」としながらも、2号機が運開する頃には、CO2排出が取引されるようになる可能性が高く、プロジェクトの経済性は改善される可能性もある、との見方を示している。 今後州政府はチームCANDUが提出したFSを検討するが、その際にはVSの指摘を踏まえ、@新型炉ACR1000建設のリスクと新型炉を実証することによる便益A2号機の出資者の明確化Bプロジェクトの責任の所在C確実な電力輸出のための見通し――等を検証し、総合的に判断することになる。 |