[原子力産業新聞] 2008年2月14日 第2416号 <3面> |
スペイン産業界 1,300万kW分 新規建設を要望する報告書スペインの原子力産業団体であるフォロ・ニュークリアは7日、電源のベストミックスを達成するために、2030年までに新規に1,300万kW分の原子力発電設備容量が必要になるとのレポートを発表した。 レポートは、スペインの総発電設備容量を2030年までに、現在の9,000万kWから1億2,500万kWへ拡大する必要があると予測。電源のベストミックスを考慮すると、原子力発電は16%にあたる2,000万kWの設備容量を占めるべきだとした上で、新規に1,300万kW分の原子力発電所を建設、残りは既存炉にバックフィットを加えた運転期間延長で対処するという。これにより、予測される冬季需要ピーク値である8,270万kWの24%を、ベースロード電源である原子力でカバーするとの考えだ。 スペインでは8基、合計出力772万7,800kWの原子力発電所が運転中。設備容量に占める原子力シェアは9%にすぎないが、総発電電力量に占める原子力シェアは約20%に達している。 フォロ・ニュークリアのE.ゴンザレス理事長は、「スペイン産業界は原子力発電所を新設する十分な資金力があるが、新設には政策面での支援も必要だ」と語り、政府が掲げる脱原子力政策の撤回を要求した。現にスペインのイベルドローラ社は、ブリティッシュ・エナジー社を中心とした英国での新規原子力発電所建設プロジェクトに、積極的に参画しており、スペイン国内での政策変更があればいつでも新設に着手できる姿勢をアピールしている。 スペインでは来月に総選挙が実施されるが、現与党の社会労働党は「最低10年間は原子力発電所の新設を許可しない」と宣言している。対する野党国民党は、原子力政策への言及を避けている。 |