[原子力産業新聞] 2008年2月28日 第2418号 <3面>

特集W フランス 放射性廃棄物処分 地下研と処分場 科学者への信頼向上 G.ウズニアン部長に聞く(2)

(前号につづき)

バタイユ議員の功績

――ビロー議員(1月7日号、10日号参照)は、「一番大事なことは、多くの国民と対話することだ」と言っているが、13回の対話(公開討論会)で3,000人の参加は、少ないのではないか。

ウズニアンANDRA国際部長 政府として組織した公開討論会はその数だったが、その他、地域情報委員会を通じて情報を流したり、その他にも随分前から情報を頻繁に流す手立てはしてきた。またGIP(地域発展を担当する公共利益の推進団体)も動いた。公開討論会の周辺で、このような大きな動きがあり、広報、情報公開の面から、幅広い努力がなされた。もう1つ、国会議員や地方議員双方がプロジェクトに理解を示し、サポートしてくれたことが大きい。

――地方議員にサポートしてもらうために、何かアクションを起こしたのか。

ウズニアン部長 もちろんだ。1つは、政府が地方の発展のために支援をするとしたことだ。またバタイユ議員の献身的な貢献が大きかった。バタイユ議員自身、具体的な提案を持って各地を行脚し、地方議員がそれに応えた。

――バタイユ議員が全国行脚したのは、フランス全土なのか、それともある程度可能性のある地域だけか。

ウズニアン部長 最初は、国全体を行脚した。それに対して、30の候補地が挙がった。そのうちの8つが地質学的に可能性があった。結局、当時の政府はそのうちの3か所を選んだ。

――バタイユ議員の説得のポイントは。

ウズニアン部長 バタイユ議員はその都度、政府の承認を得て、それぞれの地方に合った支援策を示し、説得を行った。またその際、地下研はあくまで実験施設であって、自動的に処分場にしないと説明したことも成功の大きな要因だった。

――日本の状況についてどう考えるか。

ウズニアン部長 フランス側から見た今の日本のやり方は、原子力機構が瑞浪、幌延と2つの地下研を持っているにも関わらず、将来、別の新たな候補地を求めようとしており、メッセージとして複雑。地下研と処分場の関係がよく見えない。

    ◇      ◇    
地下研と処分場

――日本は地下研を建設する際、反対運動が起き、研究と処分の実施を分けた。そういう意味では、フランスと同じだと思うが。

ウズニアン部長 フランスの場合、その関係性が分かり易い構造になっている。フランスの地下研を作るという意味は、その地域が恐らく処分に適した地層を持っていると思われるところを選定し、その地層の研究を行っている。ゆえに地下研は、その地層を調べるための研究施設だが、その地層が最終処分場の地層になる可能性は高い。日本の場合、将来の地層処分事業を実施する原環機構ではなく、全く別の研究機関である原子力機構が研究施設として作っており、その施設周辺の地質が地層処分場に適しているかどうかという観点からの研究施設ではないようだ。したがって、その研究施設が行っている研究と将来の処分場(地層)との関係が良く分からない。       (つづく)


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