[原子力産業新聞] 2008年3月6日 第2419号 <1面>

経産省 クールアース技術を策定 400億トン削減へ 原子力寄与度は12%

経済産業省は5日、「クールアース−エネルギー革新技術計画」をまとめた。現在の世界の温室効果ガス排出量を2050年に半減する「クールアース50」を実現するため、21の重点技術を選定、ロードマップを示した。先進的原子力発電には他の革新技術に比べ、最も高い寄与を期待しており、半減への寄与度は12%(=図)と試算。経産省は、同計画を国内外の温暖化対策検討の場で示す。

同計画は、昨年8月に経産大臣の下に設置した有識者会議(座長=吉川弘之・産総研理事長)で検討、5日の第4回会合で取りまとめた。

05年の世界のエネルギー起源CO排出量を約270億トンと推計。これを50年に半減するには、経済成長を考慮すれば、400億トン超の削減が必要と想定する。革新技術は発電・送電、運輸、産業、民生など幅広く検討、発電では先進的原子力、革新的太陽光、高効率天然ガス火力、同石炭火力、CO回収貯蔵(CCS)、の5技術を選定。半減への寄与度は先進的原子力が12%、高効率火力とCCSを合わせ12%、革新的太陽光7%など。

原子力は、経済成長に必要な電力を比較的低コストで安定供給でき、排出削減と両立に資すると指摘。50年に向け安全性、経済性、信頼性を大幅に向上した次世代軽水炉、高速炉サイクル技術、島嶼国等への中小型炉などの開発が重要とした。次世代軽水炉は、世界市場を目指す上からも炉型の標準化を進め、国産炉の国際標準化に向け官民一体の取組みが必要と提起、国際競争の厳しさも強調した。高速炉サイクル技術は50年より前の商業化を目指し、多国間や二国間協力を通じ、やはり世界標準炉の獲得を目指して取組む。

政府は、今月5日に「地球温暖化問題に関する懇談会」の初会合を開催、総合科学技術会議の環境エネルギー技術革新計画WGも同4日に初会合を開いた。経産省は今回の計画をこうした検討の場とともに、エネルギー大臣会合や洞爺湖サミットなど国際的な場でも積極的に紹介する方針。


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