[原子力産業新聞] 2008年3月6日 第2419号 <3面>

「原因は送電網」 米国の停電騒動 NEIが声明

米フロリダ州で2月26日午後1時頃、マイアミ近郊のフラガミ変電所で障害が発生し、送電網の電圧が急激に低下。同送電網に接続されていた稼動中の火力発電所や原子力発電所が、安全のため一斉に運転を停止し、マイアミ地域が停電に見舞われた。

運転中だったターキーポイント3、4号機(出力各76万kW)も、安全に自動停止した。なお同じくフロリダ州で稼働中の他の原子力発電所は、障害の発生した当該送電網には接続されていないため、順調に運転を継続している。

同州では予測される電力需要の急増に対し、発電設備容量の拡大が計画されているが、同時に送電インフラの老朽化が指摘されていた。今回の停電騒動は、送電インフラ再整備の必要性を痛感させることになった。

今回一部マスメディアが、「原子力発電所が緊急停止したことが原因で大停電が起こった」と報道し、多くの誤解を生む事態を招いた。今回の緊急停止は原子力発電所のトラブルが引き起こしたものではなく、あくまでも送電網のトラブルが大停電の原因であることは明らかである。

そのため米原子力エネルギー協会(NEI)は、声明を発表。(1)送電網にトラブルが生じると、発電所は発電した電力が送れなくなり、原子炉が安全のため自動停止する設計になっている(2)原子力発電所だけでなく他の火力発電所も、送電網のトラブルにより自動停止した――等と指摘し、冷静な判断を求めている。

フロリダ・パワー&ライト社(FPL)が所有・運転するターキーポイント発電所(=写真)は、火力発電所3基(1、2、5号機)、原子力発電所2基から構成されている。

FPLは火力発電所の運転については27日までに再開したが、原子力発電所2基については今回の運転停止の機会にメンテナンス作業を実施。4号機は、3月3日早朝までにフル出力運転に復帰した。


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