[原子力産業新聞] 2008年3月13日 第2420号 <2面>

原子力安全 研究協会顧問 松浦祥次郎氏 All in One Boat

原子力安全委員長を退いてから約2年。いまは財団顧問だが、ときに真新しい登山靴の履き慣らしを行いつつ、原子力安全の専門家としてまだまだ忙しい日々を送る。

2月には、日本も昨年6月に受け入れた国際原子力機関(IAEA)の「総合的規制評価サービス(IRRS)」のレビュー・チームの一員として、スペインまで行ってきた。また、原産協会等共催による新潟県柏崎市での耐震安全国際シンポジウムでは議長やパネリストも務めた。

自身の経験からして、「原子力安全規制合理化への国際的展開」は常に関心のあるところだが、安全確保の第一義的責任はその免許取得者≠ノあり、免許取得者が安全確保義務を適法に遵守しているかどうかを確認する原子力安全規制は各国が国家主権に基づいて実施している、と説明する。

国際的なIRRS活動は、「規制者間の技術的議論と政策的議論のバランスを与えることになる」と、06年の制度創設当初から期待されていると言う。

そして最後に行き着く結論は、こと原子力に関して、世界は「All in One Boat」であり、原子力平和利用をフルスコープで推進している世界で唯一の日本は、セキュリティや放射線利用をも含めたIRRSをもう一度受け入れるべきであり、それが結果的に将来の国民福祉に大きく寄与する、と迷いがない。      (き)


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