[原子力産業新聞] 2008年3月20日 第2421号 <1面> |
原子力委 革新技術ロードマップまとまる 総合科学技術会議に報告原子力委員会は18日の定例会議で原子力の革新的技術開発のロードマップを取りまとめた。21日の総合科学技術会議の環境エネルギー技術革新計画ワーキンググループに報告する。 ロードマップは技術開発テーマを、(1)既存軽水炉の有効活用(2)中期的技術開発(3)長期的技術開発(4)原子力エネルギー持続のための技術開発(5)革新的エネルギー技術の開発を支える技術開発――に区分。既存軽水炉ではその高度利用を掲げ耐震安全確保、高経年化対応、燃料の高燃焼度化、検査制度の改善、定格出力上昇運転などに取組む。 中期的な技術開発テーマは次世代軽水炉と中小型炉。次世代軽水炉は2010年までに基本仕様、15年までに基本設計をまとめ30年頃に運転開始を目指し、国内の大規模な代替炉建設需要や世界市場での標準炉の地位獲得を図る。中小型炉は15年までに要素技術を開発、30年頃に国際的な原子力の利用拡大への貢献を目指す。 長期的な技術開発テーマはFBRと燃料サイクル技術、核融合、水素製造技術の3つ。FBRは25年頃に実証炉を実現、50年より前に商業炉を開発する。核融合は30年過ぎのITERの運転終盤あたりから、原型炉の実用化研究を本格化し、50年頃には目途をつける。また、高温ガス炉の技術開発と水分解による水素製造技術は機器開発や重要技術の蓄積を進め、20年〜30年に実証を目指す。 原子力持続のための技術開発は安全確保技術、核燃料サイクル技術、基礎・基盤技術など、開発を支える技術開発では量子ビームテクノロジーによる地球環境保全技術の開発を挙げた。 ロードマップには、各技術の温室効果ガス排出削減ポテンシャルも示しており、次世代軽水炉と中小型炉では、世界の原子力発電比率が日本並みの30%になれば、二酸化炭素を約65億トン削減可能としている。 |