[原子力産業新聞] 2008年3月20日 第2421号 <3面> |
米国 新規プロジェクトでフロリダ州委に申請 総額170億ドル規模プログレス・エナジー社は11日、米国フロリダ州公益事業委員会に、同社が計画する新規原子力発電所建設プロジェクトを承認するよう、正式に申請。プロジェクト総額が170億ドルにも達するとの試算を明らかにした。フロリダ州では、フロリダ・パワー&ライト社も昨年10月に同様の申請を行い、18日に同委員会から新設プロジェクトを承認されている。 今回プログレス・エナジー社が申請したのは、フロリダ州レヴィー郡の新規サイトへのAP1000(出力110万kW)2基の建設プロジェクト。同サイトは、同社のクリスタルリバー原子力発電所の北東13キロメートルに所在し、既存の送電網へのアクセスも容易だ。 フロリダ州の発電所立地法では、新たに発電プラントを建設する場合、州公益事業委員会から当該プラントの必要性を承認されなければならない、と規定されている。また、州環境保護局からの認可取得も義務付けられている。 今後、州公益事業委員会は年内に公聴会を開催し意見聴取を実施。同州の電力需給予測だけでなく、レヴィー郡へのプロジェクトが最も経済性の高い選択肢なのか、同州全体の電源多様化やエネルギー・セキュリティ向上に寄与するか等の観点から、プロジェクトを総合的に判断する。 一方プログレス・エナジー社は、年内に州環境保護局にサイト認可を申請。連邦レベルの原子力規制委員会(NRC)にも、年内に建設・運転一体認可(COL)を申請する予定だ。同社は、早ければ2016年にも初号機を運開させたい考えだ。 フロリダ州は雇用の急増と温暖な気候を背景に、米国で成長の著しい州の1つである。過去30年間に世帯数は50%増加し、電力需要も30%増加した。クリスタルリバー原子力発電所が運開した1970年代以来、プログレス・エナジー社のフロリダ地域の顧客数は倍増している。 州公益事業委員会への申請書の中で同社は、今後10年で電力需要はさらに25%拡大すると予測しており、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの導入などに加え、原子力発電所の新設が電力の安定供給や電力料金抑制に重要な役割を果たすと指摘。 そして、レヴィー郡のサイトへの新設プロジェクトのコストについて、許認可手続きから用地取得、建設、機器・燃料調達に至るまで、総額170億ドル規模(うち30億ドルは送電インフラの整備)に達すると試算している。 電力料金は2009年から2018年にかけて年率3〜4%上昇する見込みだ。同社は「当社だけでなく消費者にとっても、かなり大きな負担となる」としながらも、「燃料価格高騰のリスクや将来的なCO2排出の高価格化を想定すると、新規原子力発電所による便益は大きい」と強調し、理解を求めている。 |