[原子力産業新聞] 2008年3月20日 第2421号 <3面>

加ブルース・パワー社が4基新設を想定 アルバータ州への新規導入を申請

カナダ・オンタリオ州を本拠地とするブルース・パワー社は13日、アルバータ州への原子力発電導入を目指すエナジー・アルバータ社(EAC)の買収を完了。同時に、アルバータ州ピースリバーを対象としたサイト準備認可(SPL)を、カナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。

ブルース・パワー社は今回、10億加ドルを投じ、計4基(出力合計400万kW規模)の新設を提案。環境影響評価や地元自治体への理解促進活動が順調に進めば、早ければ初号機を2017年にも運開させたい考えだ。

もちろんSPLの申請は、実際の建設に向けた最終判断ではないが、同社は許認可プロセスに要する期間を3年と見込み、今後3年内に最終判断を下したいとしている。

アルバータ州の電力需要量は2000年より年率3.2%の上昇率で増加の一途をたどっており、2017年までに500万kW、2027年までに1,150万kWの発電設備容量の増強が必要だと予測されている。そのためブルース・パワー社は、EACが計画したプロジェクト、ACR1000(出力120万kW級)×2基の規模を拡大。炉型についても、必ずしもCANDU炉にこだわらず、経済性を鑑みて総合的に判断するとしている。

カナダ連邦政府は、2020年までにCO排出量を2006年比で20%削減するとの計画を掲げ、原子力発電を検討すべき重要事項と位置づけている。

ただし原子力発電所の許認可は連邦政府の管轄だが、審議段階で立地州の意見も尊重される。そのためアルバータ州のE.ステルマック州首相は、ブルース・パワー社のSPL申請を受け、「導入を検討する専門家パネルを設置する」として原子力発電に関する議論の場を設ける考えだ。

カナダ唯一の民間原子力発電事業者であるブルース・パワー社は昨年11月、EACが進めてきたアルバータ州での新規建設プロジェクトを買収し、新たに発足させるブルース・パワー・アルバータ社に継続させることでEACと合意していた。


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