[原子力産業新聞] 2008年3月27日 第2422号 <3面>

注目集まるBE社 英政府が保有株売却を検討

原子力発電所の新規建設に向けて動き始めた英国で、中心的なプレイヤーになると目されているブリティッシュ・エナジー社(BE)だが、フィナンシャル・タイムズ紙の一連の報道により、BEの売却問題が一気に表面化。BE自身も17日、複数社と協議中であることを正式に発表した。

同紙によると、BE株の35.2%を保有する英政府は、財務アドバイザーにUBSを据え、独Eon社、独RWE社、仏電力公社(EDF)、イベルドローラ社、バッテンフォール社、スエズ社、フォータム社、英セントリカ社、英スコティッシュ&サザンエナジー社(SSE)等にBE株の売却を持ち掛けているようだ。

BE株の買収に対する各社の関心は高いと見られているが、それはBEの既存炉を評価してというよりは、英国の新規建設プロジェクトを評価したものと考えるのが普通だ。BEの所有サイトは電力需要の高いイングランド南東部に多く、原子力発電所の新規建設プロジェクトにとって非常に有利な立場にある。つまりBE株を手に入れると、ほぼ確実に英国の新設プロジェクトに参入できることになる。逆に言うと、ライバル社にBE株を一括売却された場合、プロジェクトに参入できる可能性はほぼゼロになるわけだ。「英国政府はそこを突いて高値での競り合いを狙っている」と見る向きもある。

ただしBE株を部分売却するか、一括売却するかについては、政府内部でも意見はまとまっていないようだ。財務省は少しでも高値で一括売却させたい考えだが、ビジネス・企業・規制改革省(BERR)は、一括売却された場合、国内原子力産業界に競争原理が働かなくなるとして、慎重な姿勢を示しているという。


Copyright (C) 2008 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.