[原子力産業新聞] 2008年4月10日 第2424号 <1面> |
電気事業連合会 保全情報を共有 データベース化 新検査制度に対応 原子力学会・原技協が協力電気事業連合会は、原子力発電プラントの新検査制度への対応や保守管理の継続的改善を進めるため、今年度上期を目途に日本原子力学会の協力を得て「劣化メカニズム整理表」の利用を開始する。さらにこのデータベースを今年度中に電力共通技術基盤として組織化するため、日本原子力技術協会と協調し、本格的な運営体制を整える。 「劣化メカニズム整理表」は、各事業者が蓄積してきている発電プラントの各種機器、部品などの点検手入れ前データや点検データを事業者間で共有化するもの。機器の状態監視や部品の経年劣化などの情報を共有データベースとし、新検査制度におけるプラント毎の停止間隔設定に有効なツールとするとともに、保守管理の継続的な改善につなげる。 当面の共有情報としては、(1)保全内容や時期の決定に際してクリティカルとなる消耗品や定期取替品などの部品、その事象に関する情報(2)設備の信頼性維持と最適化に有用な各社の保全の内容・頻度・点検基準(3)これら情報が整理される保全計画書、プラント停止間隔設定に係る技術評価書などの関連情報(4)設備を扱う現場専門家の経験――などを挙げている。 これまで一定期間運転した機器はその状態に係らず定検時に分解点検、一定期間使用した部品は劣化度合いに係らず同じく交換してきているが、同整理表の有効利用により最適化する。 電事連では、現在、原子力学会が策定中の「経年劣化メカニズムまとめ表」の情報も取込み、今年度上期には各社での利用を可能とするとともに、維持管理方法の具体化の準備を急ぐ方針。さらに原技協に各事業者が参加する分野別エキスパート会議を設置、経年劣化事象か偶発事象かなどを検討した上で、各社に同整理表の変更情報を提供できる体制を今年度中に整える。 |