[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <2面>

サミットで指導力発揮し、推進 福田首相 原子力は温暖化対策の切り札

この大会は、国内外からたいへん多くの方々の参加を得て、毎年盛大に開催されていると聞いており、心からお喜びを申し上げる。

申し上げるまでもないが、安全の確保を大前提とした原子力の推進は、立地地域の皆様、また国民1人ひとりの理解なくしては実現不可能だ。加えて、原子力関係者の長年の努力にも大変大きなものがあり、関係者のこれまでの地道な努力に、改めて敬意を表したい。

近年、エネルギー安全保障の確立と地球温暖化対策の観点から、世界的な原子力回帰の動きがある。原子力ルネッサンスといわれるこうした動きは、わが国が一貫して原子力開発利用を進めてきたことが、決して間違いではなかったということの証左だ。

昨今、石油をはじめとする天然資源の有限性が叫ばれ、価格も高騰している。資源エネルギーのほとんどを海外に依存しているわが国として、省エネルギーに取り組み、また新エネルギーの開発普及も推進しているが、基幹電源である原子力発電も着実に推進していくことが極めて重要だ。また、将来的にも原子力発電の持続的な利用を可能にするためには、「もんじゅ」などの高速増殖炉の開発も、今後一層重要になると存じている。

発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電は、地球温暖化対策の切り札である。地球温暖化問題は、世界が共通して直面している大きな課題であり、わが国の優れた原子力技術を活かして、アジアや世界における安全で平和的な原子力拡大に貢献することも、わが国の重要な役割であると思っている。

特に、わが国は地震国であり、特に安全については最大限の配慮をしている。この安全面に対する配慮は、これから他の国々に原子力を発展させていくとなると、まず第一に必要なことではないかと考える。

7月には、G8洞爺湖サミットが開催される。最大のテーマの1つが、気候変動問題だ。私は議長を務めることになるが、温暖化対策における原子力の重要性にも配慮しながら、各国との議論にリーダーシップを発揮したいと思っている。

エネルギー安定供給確保のためにも、地球環境問題の解決のためにも、優れた技術力を活用して、エネルギーを確保していくという発想が必要である。たいへん厳しい安全性や耐久性が求められる原子力発電は、まさに最先端の科学技術のかたまり。原子力に関する技術開発の推進は、幅広い関連技術の進歩を促すことにもつながることになる。

産官学が連携して、原子力分野の技術力を強化し、安全を確保しながら国民の理解協力のもとに、原子力の利用を進めていくことがたいへん重要である。

私としても、皆様の取り組みをしっかりサポートし、今後とも原子力の安全かつ着実な推進に努めてまいりたい。

本日列席の皆様のご健勝と原子力産業全体のますますの発展を祈念して、私の挨拶とさせていただく。


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