[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <4面> |
濃縮能力を再建へ 南アフリカ原子力産業協会 理事 アレックス・ツェラ氏南アフリカのエネルギー供給のほとんどは、資源量が豊富で安価な石炭に依存している。一次エネルギー供給における燃料別シェアは、石炭が68%、輸入による原油が19%で、原子力は3%にすぎない。 電力部門を見ると、国営電力会社であるエスコム社が、国内電力需要の95%を供給している。エスコムは国内で24の発電所を所有しており、総発電設備容量は3,981万kWを誇る。うち石炭火力が3,820万9,000kWと大部分を占めている。 一方、供給予備率は漸減傾向にあり、2001年には25%だった予備率が、2007年には8〜10%に低下している。経済成長や急速な産業化、国民生活の電化等が原因と考えられており、今後もこうした傾向が続くと予測されている。 エスコムは、地球温暖化防止に配慮したエネルギー・ミックスを重視しており、省エネ、実現可能性のある再生可能エネルギーの利用、CO2を排出しないベースロード電源の推進を掲げている。そのため、2025年までに総発電設備容量を8,000万kWへ拡大する計画のうち、2,000万kW分を新規原子力発電所でまかなう考えで、軽水炉(中でもPWR)とPBMRの新規建設を計画している。もちろん、過去に有していた転換・濃縮・燃料製造能力の再建も、必要となってくるだろう。 今後の課題としては、原子力発電開発計画を支える人材の確保、必要な資器材の確保、PA問題が上げられる。南アフリカ原子力産業協会はPA分野において、大きな役割を果たすものと期待されている。 |