[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <6面>

水・食糧・エネ一体で考慮を 気候変動でシンポ

「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)、「サステイナビリティ学連携研究機構」(IR3S)、東京大学は共催で17日、サイエンス・シンポジウム「科学者が語る第四次評価報告書のメッセージ」を東京大学・安田講堂で開いた。

小宮山宏総長が開会挨拶し、「学問は百花繚乱と言うものだが、この問題はそうも言っていられない。科学がまとまった結論を出さなければならない事態に直面している」、「温暖化は避け得ないとしても、破局的な事態は避けることはできる。遅すぎるということはないが、もう始めないと間に合わない」などと述べた。

R.パチャウリIPCC第3代議長もビデオ発表し、「IPCCに寄せられる信頼は、その作業過程の透明性ゆえだ。すべての過程が公開される」と強調した。また、「いまなら、温暖化ガスの削減コストはそれほど高くないことを強調しておきたい」、「各国政府がすべきことは、国民に決意表明することだ」と述べた。

「気候変動からグローバル・サステイナビリティへ」と題して講演した住明正・東大地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクターは、「地球温暖化だけを考えていれば良いわけではない」と指摘し、「貧困問題など問われているのは我々の社会のあり方だ」と述べ、「新しい日本社会の創造につなげられるか。どのようなモデル、例えば海洋国家モデルか、東洋のスイスかなど歴史的な認識が必要だ」と語った。

「水マネジメントへの気候変動の影響」と題して講演した沖大幹・東大生産技術研究所教授は、「世界的に見ると、渇水と洪水のリスクが共に高まる地域が重なる傾向がある」との問題点を指摘し、対策として(1)地下水の探査(2)貯水池・ダムの建設(3)海水淡水化(4)雨水の利用――など挙げ、「水だけでなく食糧とエネルギーの三位一体で考えるべきだ」と強調した。


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