[原子力産業新聞] 2008年5月1日 第2427号 <1面> |
原子力安全・保安院 初期消火体制で省令改正 保安規定事項に 通報設備・要員・化学消防車など原子力安全・保安院は、今年度上期中にも原子力発電所などの初期消火体制の整備に関する省令を改正する。通報設備の設置、必要な要員確保、化学消防車の配置などの初期消火体制を保安規定の記載事項とし、保安検査で確認する。すでに各事業者は柏崎刈羽での事象に対応、自衛消防体制の強化に取組み、こうした体制を整備しているが、保安院として保安検査で定期的に確認し、同体制の継続的な見直しと反映を求める。 この省令改正の骨子は、4月24日の総合資源エネルギー調査会の原子力防災小委員会・火災防護WG(主査=鶴田俊・消防庁消防研究センター特殊災害研究室長)の初会合で示した。現在、経産省内で省令案の審査を進めている。改正対象省令は、原子炉等規制法の下の実用炉則、研究開発段階発電炉則、再処理規則など。 通報設備は、中央制御室など耐震性のある場所への設置とともに常に要員の配置を求める。初期消火に必要な要員は、24時間常駐を基本に常時10名以上の確保を要求。火災発生時に遅滞なく消火活動ができれば兼任も可能としている。 改正の主要事項は、総合資源エネルギー調査会の「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」の自衛消防及び情報連絡・提供に関するWGが、今年2月に取りまとめた自衛消防に関する報告内容を反映させている。 初会合を開いた火災防護WGは、原子力発電所などの火災事象を審議する初の常設委員会で、3月の原子力防災小委員会で設置が決まった。 当面、柏崎刈羽の火災発生を受け自衛消防WG報告に盛り込まれた方策や各事業者と保安院のアクションプランをフォローアップ。中長期的には、国内外の火災事故や火災防護対策の事例を分析し、予防措置やガイドラインなどを検討するとともに、消防法との関係を整理した上で、消防設備の耐震性・強度・多重化など原子力施設として上乗せすべき事項も検討する。 |