[原子力産業新聞] 2008年5月15日 第2428号 <1面>

原子力推進の温暖化対策を 秋元・原産協会副会長 自民党推進本部で主張

自民党の地球温暖化対策推進本部(委員長=野田毅・衆議院議員)は9日の会合で、供給側の対策について有識者からヒアリングした。原子力では秋元勇巳・日本原子力産業協会副会長が「原子力の推進を通じた地球温暖化対策への貢献」として、設備利用率向上の必要性やCDMにおける原子力の不当な評価の見直しなどを主張した。

秋元副会長は、世界のエネルギー需要拡大の中で原子力は温暖化対策として不可欠で、その推進のために必要な国内取組みとして、@科学的・合理的規制の推進A相互信頼を基盤とした地域、マスコミとの関係の再構築B欧米並みの設備利用率の達成C2018年までに9基の運転開始計画の実行D核燃料サイクルの着実な実施E次世代軽水炉など技術開発の推進――などを挙げた。

特に日本の設備利用率は、06年実績で31か国中、27番目(約70%)、1基当たりの被ばく線量も各国が着実に削減してきているのに対し、日本は作業時間の増加などにより、やや増加傾向にあると指摘。日本は1基当たりの停止頻度は少ないが、計画停止比率が高く、計画外停止では様々な手続きなどから、1件当たりの停止期間が米国に比べ4倍程度長いことなども示した。その上で、事業者の自主保安努力を前提に、利用率70%が米国並みの90%になれば日本全体のCO排出量の5%の削減効果があるとした。

世界の原子力利用拡大への貢献では二国間協力の推進、原子力導入国に対する基盤整備、CDM対象外の不平等な取り扱いの廃止などを要請。洞爺湖サミットでは、日本の原子力と省エネ技術を軸とする政策を世界にアピールすべきとした。

ヒアリング後に、野田委員長はどのように原子力発電所の停止期間を短縮するかの具体策について、経済産業省などに報告を要請。また同本部の川口順子・事務局長は会議終了後に、来月始めにまとめる同本部の中間報告には、こうした課題に対する具体策を入れたいとの意向を示した。

今会議では原子力とともに、新再生エネは柏木孝夫・東工大教授、革新的技術では薬師寺泰蔵・総合科学技術会議議員からヒアリングした。


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