[原子力産業新聞] 2008年5月22日 第2429号 <1面>

総合科学技術会議 環境エネ技術革新計画を決定 軽水炉高度利用、次世代軽水炉、FBR開発推進など

総合科学技術会議(議長=福田康夫首相)は19日、洞爺湖サミットで日本が示す地球温暖化対策の内のエネルギー技術開発の柱となる「環境エネルギー技術革新計画」を取りまとめた。4月に同会議の環境エネルギー技術革新計画WGが取りまとめた中間報告を踏襲。原子力に関しては、短中期的対策の中で、軽水炉を安定的に利用・拡大するための環境整備を推進するとし、中長期的対策で次世代軽水炉や高速増殖炉(FBR)の開発を進めるなどとした。

同計画は、(1)低炭素化社会実現に向けた我が国の技術戦略(2)国際的な温室効果ガス削減への貢献策(3)革新的環境エネルギー技術開発の推進方策――で構成。

技術戦略は、2030年頃までの短中期技術と30年以降の中長期技術に区分。供給側で短中期的に削減効果の大きな技術として、軽水炉の高度利用を掲げ、「現状でも大きな削減効果をもつ原子力発電を安定的に利用・拡大していくための環境整備等の取組みを推進する」としている。中長期的に削減効果の大きい革新的技術では、「30年前後に見込まれるリプレースに向けた次世代軽水炉や50年よりも前の実用化を目指すFBRの開発を進める」とした。また水素製造技術も革新技術の主要技術に挙げるとともに、超長期に実現が期待される技術として核融合を挙げ、長期的研究開発を戦略的に推進するとしている。

国際的な貢献策では、開発途上国に核不拡散、原子力安全および核セキュリティの確保を大前提に、円滑に原子力発電の導入が図られるよう、相手国における基盤整備に積極的に貢献し、我が国の優れた原子力技術を国際展開するとした。技術開発の推進方策では、革新的技術開発の加速、国による研究開発の重点化、民間へのインセンティブなどを挙げた。

同計画は同日取りまとめた「革新的技術戦略」の一環に位置づけられており、同戦略では来年度から新たに「革新的技術推進費」を創設し、機動的に資金投入すべき技術の研究開発を加速するなどの方針を決めた。


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