[原子力産業新聞] 2008年6月5日 第2431号 <2面>

「原型炉の青写真を」 核融合部会 原産協会が意見・要請

原子力委員会の核融合専門部会は5月28日の会合で、産業界と学協会からヒアリングするとともに、同部会報告の骨子案を検討した。産業界は近藤光昇・日本原子力産業協会ITER・BA推進対応検討会主査が、ITERとBAでは技術者不足を指摘するとともに、国として原型炉に向けた青写真を明確にすることを要請した。

近藤主査は、同協会が06年3月にまとめた「核融合開発における産業界の立場と役割」の第3次報告書およびこれに最近の情勢を補足し、課題や対策を示した。

ITER・BAの課題では、技術者の退職の加速により、現有の技術者数では即応できないことが現実とするとともに、鉄鋼材料や超伝導コイル用ニオブなどが大幅に高騰、工程とコストの見直しが必要とした。また、トリチウムに深く関与する安全設計技術などはITER機構とホスト極に蓄積されるだけでなく、国内にも蓄積しておくべきとも指摘した。

原型炉の青写真の明確化は、産業界の人材確保の上でも必要とし、原型炉に関する基本的な考え方を同専門部会で検討して欲しいと要請した。

学協会からは吉田善章・東大教授がプラズマ・核融合学会が昨年まとめた「核融合を発展させる学術研究のあり方」に沿って考え方を示した。


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