[原子力産業新聞] 2008年6月5日 第2431号 <3面>

原子力委員長に蔡教授任命 台湾 馬政権

台湾で8年ぶりに政権を奪取した国民党の馬英九総統は5月20日、原子力委員会委員長(大臣)に台湾の清華大学の蔡春鴻・抜群教授(58歳)を任命したと発表した。副委員長には台湾核能研究所(INER)の謝得士副所長が任命された。

蔡委員長は30年以上にわたって原子力工学と原子力材料分野における研究者および教育者として活躍。米カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得後、1982年に出身校である台湾の清華大学の助教授に就任した。その後、同大で教授、原子力工学プログラムや原子力科学部の部長などを務め、「抜群教授」の称号を付与されていた。

これまでに300編以上の技術論文を公表しているほか、プラズマ技術やナノ物質関係では10件の特許を取得。台湾原子力委員会でも、原子力施設や放射性廃棄物の安全性に関する専門部会の委員および議長などを務めた実績がある。

謝副委員長は米テネシー大で原子力工学の博士号を取得。1975年から台湾INERで原子力の民生利用に係わる研究開発を行っており、所内では運転保守センターの部長や原子力計測部長、諮問委員会議長などを務めていた。

5月26日にメディアと初会見した蔡委員長は、「原子力安全規制の権威として、原子力委員会は一般公衆が原子力エネルギーと放射線源を利用する際の安全や幸福を保証する責任を負っている」と明言。一般公衆は原子力委が国民の側にいることを知って欲しいと述べた。また、将来の規制改革に備えて「原子力業界に若い技術者を惹きつけていくこと、質の高い最先端の訓練を従業員に提供していくことが重要だ」と強調した。


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