[原子力産業新聞] 2008年6月12日 第2432号 <1面>

原子力の意義前面に G8本番に反映めざす 青森で主要エネ大臣会合開催

7月のG8北海道洞爺湖サミットを前に、主要議題の1つである世界のエネルギー問題を議論するG8エネルギー大臣会合と、日米中印韓の5か国大臣会合、G8+中印韓の11か国大臣会合が7日、8日、青森市のホテル青森で相次いで開催された。地球環境問題の解決を念頭に、世界的なエネルギーの供給と消費を一体的に議論するため、中印韓3か国も招聘し、G8+3として原子力の必要性を大きく盛り込んだ共同声明を発表した。議長を務めた甘利明・経産相は記者会見で、「より多くの国がエネルギー安全保障、気候変動に対応するため原子力オプションに関心を有しているとの、従来の合意文書よりも前向きな表現が盛り込まれた」と今回会合の意義を強調した。

G8(日米英仏独伊加露)エネ大臣会合が開かれたのは、06年モスクワ開催以来2年ぶり。

世界のエネルギー需要のうち、この11か国で64%を占め、COの排出量も66%。各国の1次エネルギーに占める原子力発電の割合もフランスの約42%からイタリアのゼロ%まで幅広い。

米国のWTI原油価格が会議直前に139ドルの最高値をつけ、産油国の余剰生産能力も低水準で推移している中で、新たな非化石燃料のエネルギー安定供給源の開発をこれら各国で合意し、世界的な規模で新たな推進の流れを加速できるかが、大きな焦点だった。

ベルルスコーニ第3次政権の誕生で、イタリアが原子力開発に再び舵を切り始めたのに対し、キリスト教民主同盟と社会民主党との大連立の合意で脱原子力政策に手を付けられないでいるドイツの発言が注目されたが、J.ホーマン経済技術省次官は、「EU内での枠組みで、再生エネルギーの拡大を図っていく。他国の立場は原子力ルネッサンスだが、ドイツでは段階的撤廃は依然として変っていない。国民がどこまで受け入れてくれるかだ」と述べたが、昨年のドイツでのハイリゲンダム・サミットで見せた強硬な姿勢に比べると、エネ大臣会合とはいえ、より柔軟な態度を示した。

来年のG8議長国であるイタリアでのエネ大臣会合の開催が決まったほか、中国が提案して始まったG5エネ大臣会合の第3回を韓国がホストするとの提案も高く評価された。

青森での一連のエネ大臣会合でG5、G8、G11の各共同声明、国際省エネルギー・パートナーシップ(IPEEC)宣言の4文書が採択され、4文書を合わせて「青森宣言」と名付けた。

会合終了後、記者会見した甘利経産相は、青森宣言について、「世界のCO排出量の3分の2を占める11か国が心を1つにして、エネルギー危機、温暖化防止に取り組む合意ができた。極めて大きな前進だ。残りの他の国々もその方向に向かって協力してくれる道筋がついたと思っている」と語った。(5面に会見写真、原子力部分の全文


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