[原子力産業新聞] 2008年6月12日 第2432号 <2面>

原子力の国際貢献が重要 福田首相 サミットへ「低炭素社会・日本」

福田康夫首相は9日、日本記者クラブで、洞爺湖サミットに向け、地球温暖化対策として「低炭素社会・日本をめざして」を発表した。2050年までに、我が国のCO排出量を現状から60〜80%削減するとし、対策の第一に、革新技術開発と既存先進技術の普及を掲げた。原子力では、次世代炉の開発や途上国への安全技術の提供などの重要性について言及した。

同対策は首相が主催する「地球温暖化問題に関する懇談会」などの議論を踏まえ、地球環境問題に取り組む基本姿勢を示したもの。世界のCO排出量を50年までには現状から半減する必要があり、先進国は途上国以上に貢献すべきとして、我が国の目標を示した。

対策の柱は、革新技術開発と既存先進技術の普及、国全体を低炭素化に動かす仕組み、地方の活躍、国民主役の4項目。革新技術を一層加速するため、洞爺湖サミットで国際機関とも連携した「環境エネルギー国際協力パートナーシップ」を提案するとし、革新的な太陽電池やCCS技術、次世代原子力発電技術などの開発ロードマップを共有したいとした。

既存先進技術の普及の中で、原子力については、「引き続き安全安心を大前提に原子力政策を推進していくとともに、途上国の原子力導入などの国際的な動きがあり、優れた安全技術を提供し、核不拡散に対する厳格な姿勢を伝えていくことは、我が国に期待されている重要な役割」とした。

また、排出量取引は、今秋に試行的に実施する方針を示した。


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