[原子力産業新聞] 2008年6月12日 第2432号 <2面>

稼働率低過ぎる IEAが対日審査報告

国際エネルギー機関(IEA)は、日本のエネルギー政策を審査した対日報告書2008をまとめ、9日、田中伸男・事務局長(=写真右)が甘利明・経産相に報告した。IEAは我が国の原子力発電の稼働率の低さを指摘、「過剰規制とは言わないが、改善の余地がある」とした。

IAEAの国別審査はメンバー国を4、5年に一度、安全保障・経済効率・環境対応などの観点から評価する。

今回の対日報告で原子力では、(1)核不拡散の観点を維持し、先進技術開発の国際貢献を続けるべき(2)定期検査や義務的メンテナンスを世界の優れたレベルに向上すべき(3)最大運転能力を引き上げ、燃料から抽出するエネルギーを世界の優れたレベルにすべき(4)国民意識を定期的に調査、リスクと利点に関するバランスのある情報提供を確実にすべき(5)保安院に対する国民の信頼維持に努力し、保安院は専門知識と経験を確保すべき(6)原子力の気候変動などへの利点を投資意思決定に活かすため、投資動向を監視し、適切なインセンティブを維持すべき――などを提言。

保安院について田中事務局長は、「良い仕事をし、独立性も高いと認識しているが、独立性に疑問を持たれまいとして、様々な事象に必要以上に厳しく対応しているのではないか」とも指摘した。


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