[原子力産業新聞] 2008年6月12日 第2432号 <5面>

G8、中国、インド及び韓国 エネルギー大臣会合共同声明(仮訳)

G8に中国、インド、韓国の3か国を加えたG11エネルギー大臣会合が8日、青森市で開かれ、共同声明を発表した。世界のエネルギー消費の64%を占める11か国のエネルギー大臣が一堂に会して共同声明を発表するのは初めて。原子力関係部分の全文を抜き出して掲載する。

【原子力】

19 我々は、エネルギー安全保障と気候変動緩和の目標達成に向け、さまざまな道を追求している。我々は、より多くの国が気候変動緩和とエネルギー安全保障を達成する手段として、原子力に関心を表明していることに留意する。これは、そのような国々が、原子力がベースロード電力供給技術として有効であり、発電過程で温室効果ガスを排出せず、化石燃料への依存を下げるとの立場を有しているからである。

20 我々は安全で平和的な原子力エネルギー利用を、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティを確保しつつ進めねばならないことを強調する。また、原子力損害に対する補完的保証に関する条約のような原子力第三者責任のためのさまざまな枠組みの重要性に留意する。我々は、核燃料と放射性廃棄物の管理について責任ある政策の必要性を強調する。

21 核不拡散、原子力安全、核セキュリティを確保しつつ民生用原子力を拡大するため、既に民生用原子力エネルギーを導入した国とこれから導入する国とで合意されたフレームワークを通じ、人材育成、規制制度、資金を含むインフラ整備の面での協力を推進する。原子力を利用している国や利用しようとしている国は、先進的な原子力エネルギー技術の開発が、安全で効率的で平和的な原子力エネルギーの利用にとって重要な要素であることを認識する。我々は国際原子力機関(IAEA)等の国際機関の重要な役割について再確認し、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)、国際ウラン濃縮センターに関するロシアのイニシアティブ、原子力燃料供給保証のためのIAEAスタンバイ・アレンジメント・システムに関する日本のイニシアティブ及びIAEAのみのコントロール下におかれる濃縮センターに関するドイツのイニシアティブを含む原子力エネルギーの更なる平和利用についての国または国際的なイニシアティブの重要性を再確認する。我々は、革新的原子炉と核燃料サイクル導入環境整備支援プロジェクト(INPRO)、第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)、国際熱核融合実験炉(ITER)などの枠組みにおいてなされている取組に留意する。原子力エネルギーの安全な利用に対する責任は、それを利用する国に存することに留意する。

【革新的技術開発 】

23 我々は、革新的エネルギー技術の研究・開発・実証(RD&D)は、長期的にエネルギー安全保障を実現し、気候変動に対処するためのカギであることを認識し、国情に応じてエネルギー関連RD&Dを促進する必要がある。我々のうち関心を有する国々は、国際エネルギー機関(IEA)内の関連する組織及びIEAや各国により作成された主要な技術に対する技術開発ロードマップを用いること、技術協力に関する国際的なパートナーシップの現状を評価すること、そして、IEA非加盟国やその他の組織、関連パートナーシップとともに、追加的なものの必要性を検討することによって、率先してエネルギー効率が高くより低炭素な技術のRD&Dを加速するとともに、関心を持つ主要国に対して、このような努力への参加を要請する。我々は、民間市場を通じた革新的技術の商業化を誘発するための政策や財政措置を活用する。

24 我々は、炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF)、水素経済のための国際パートナーシップ(IPHE)、国際原子力機関(IAEA)、革新的原子炉と核燃料サイクル導入環境整備支援プロジェクト(INPRO)、第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)、IEA実施協定のような既存の国際機関、イニシアティブ及びパートナーシップを通じ、革新的な技術の発展のための協力を強化する。我々は、すべての国に対し、既存のパートナーシップやイニシアティブを活用して、最先端の技術に関する情報交換を強化するよう、また、適切な場合には、発展途上国のRD&Dのキャパシティビルディングを支援するよう促し、また、我々は、IEA及び他の国際的なメカニズムに対して、発展途上国との間の技術に係るネットワークを強化し、最先端の技術に関する情報交換を強化し、費用対効果のよい方法で最先端の技術の適切な移転のための基盤を確立することを促す。

【総括】

25 我々は、G8、中国、インド、韓国のエネルギー大臣が初めて共通の関心事項について協議したことを高く評価する。我々は、引き続き、G8とその他の国々との間のエネルギー大臣の対話を深める。

26 我々は、2009年にエネルギー大臣会合を開催するという次期G8議長国イタリアの提案を歓迎する。


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