[原子力産業新聞] 2008年6月19日 第2433号 <4面>

初の中性子発生成功 J―PARC 加速陽子を入射

J―PARCセンターは、このほど加速器で光速近くまで加速した陽子ビームを物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源に入射する実験を実施、初めて中性子の発生に成功した。今後、徐々に出力を上げ、今年12月の本格的な利用運転を目指す。

この実験では、第1段加速器リニアックおよび第2段加速器3GeVシンクロトロンにより、光速の約97%まで加速した数兆個の高エネルギー陽子の塊を初めて物質・生命科学実験施設に導入、中性子源中心部で実際に標的である水銀の核破砕反応を起こした。中性子源中心から14m離れた実験室では、1平方cmあたり数万個の中性子を観測、初の中性子発生に成功し、設計通りの性能を確認した。

J―PARCは、これまで高エネルギー陽子を生み出す加速器の調整試験を進めてきたが、中性子を利用した実験研究施設の試験運転の開始により、建設開始から約7年で完成に大きく近づいたことになる。


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