[原子力産業新聞] 2008年7月3日 第2435号 <4面>

【わが国の原子力発電所運転速報】 6月の設備利用率、約54%に 岩手・宮城内陸地震発生、原子力に異常なし

日本原子力産業協会の調べによると、08年6月の国内原子力発電所の稼働状況は、設備利用率53.6%、総発電電力量190億2,683万kWh(対前年同期比14.3%減)で、前月より若干の上向きとなった。因みに、昨夏以前から停止している発電炉(11基)を除くと、利用率は68.3%となる。

今期は、北陸電力志賀2号機の本格運転再開を反映し、BWRの設備利用率は53.0%と、前月の47.2%から5.8ポイント上昇した一方で、PWRでは、関西電力の大飯1号機、九州電力の玄海3号機の定期検査入りなどから、前月の57.2%からやや後退して54.5%となり、結果、両炉型の利用率の差が狭まっている。志賀2号機は5日、低圧タービンの整流板設置工事に伴う全検査を完了し、同日より定格電気出力を135.8万kWから120.6万kWに変更した。

昨夏より定検により停止していた関西電力高浜2号機は、8日に調整運転を開始し、およそ10か月ぶりの戦列復帰となった。定検中は、原子炉容器周辺遮へい体設置工事、耐震裕度向上工事、美浜3号機事故を踏まえた配管点検などの保全対策が実施された。本格運転再開は、7月上旬の見込み。

なお、6月14日、岩手県内陸南部を震源とする「岩手・宮城内陸地震」(M7.2、最大震度6強)が発生、岩手、宮城、秋田、福島の4県にわたって甚大な土砂災害に見舞われ、ライフラインにも影響が及んだものの、東北地域の原子力施設に特段の異常はみられなかった。


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