[原子力産業新聞] 2008年7月17日 第2437号 <1面>

外観点検、全号機で終了 柏崎刈羽 耐震強化工事も順次開始

東京電力の高橋明男・柏崎刈羽原子力発電所長は10日、定例記者会見に臨み、中越沖地震の発生から約1年が経過したことについて、「これまでの1年間、安全を第一として、設備の点検・調査を着実に進めてきたが、現時点では、安全上重要な設備の機能に影響を与える損傷は見つかっていない。今後も、設備の点検・調査を一つ一つ積み重ねると共に、防災や保安上の観点から必要な設備の復旧工事を鋭意実施していく」と述べた。

同所長は、7月3日には昨年11月から進めてきた燃料集合体と制御棒の外観点検が全プラントで終了し、地震による健全性への影響がないことを確認、「これにより、原子炉関係の主な外観点検については、全プラントにおいて、ひと通り終了したことになる」とした。

また同所長は、耐震性向上への取り組みについて、耐震強化工事の当面の対応として、6・7号機の配管サポート、原子炉建屋の屋根トラス(屋根を支える骨組み)、排気筒などに関して、「準備が整った部分から安全性向上のための工事を開始することとしている」と説明したほか、その他の工事については、「対象範囲を含めて現在検討中であり、開始時期は未定だ」と述べた。

7号機については、6月16日から配管サポートの強化工事を開始しており、14日からは原子炉建屋屋根トラスの強化工事を開始する。6号機についても7月4日から配管サポート強化を開始した。

東京電力では、中越沖地震での地下最下部に当たる原子炉建屋基礎版上での最大加速度の観測値(1号機)680ガルに対して、安全設計上の基準地震動Ssを1号機から4号機までは2,280ガルと規定し、その原子炉建屋基礎版上での応答加速度を最大829ガルと計算、実際の耐震補強工事では全7プラントとも1,000ガルの地震動にも耐えられるように補強することを決めている。

高橋所長は最後に、「当社の事業運営の基盤は、立地地域の皆さんをはじめ社会の理解と信頼のうえに成り立っている。今後も、地域の皆さんの声を真摯に伺うとともに、安全確保を最優先に努めていく」と述べた。

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[清水正孝・東京電力社長の談話]震災で亡くなられた方々、遺族の皆さまに対しあらためて哀悼の意を表します。被災された皆さまに対して心よりお見舞い申しあげます。私どもは、今後も地域の一員として、皆さまとともに復興に取り組んでいきます。消防体制や初動態勢の充実を図り、引き続き設備の点検・評価、復旧工事や耐震安全性向上のための工事を一歩一歩確実に行い、安全・安心な原子力発電所づくりを目指します。情報発信し、地域の理解と信頼を得られるよう最大限努力していきます。


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