[原子力産業新聞] 2008年7月17日 第2437号 <3面> |
政府融資保証第2次招請書を出状 米エネルギー省 原子炉建設に185億ドル米エネルギー省(DOE)は6月30日、大気汚染や温室効果ガス排出を軽減する革新的なエネルギー技術のためのプロジェクト3分野について、305億ドルを上限とする政府融資保証の招請書を出状し、企業からのプロジェクト提案申請を促した。 今回の融資保証は新たなエネルギー技術の商業利用化とクリーン・エネルギー計画への道筋を付けることを目的とした2008会計年度の「連邦政府融資保証プログラム」の枠組みで発給されるもので、2006年に第1次招請書を出状したのに続いて2回目。招請分野は、@エネルギー効率、再生可能エネルギー、先進的な送配電技術(100億ドル)A原子力発電施設(185億ドル)B濃縮などフロント・エンドの先進的燃料サイクル施設(20億ドル)──の3分野となっている。 2005年エネルギー政策法で定められた政府融資保証は、ブッシュ大統領が掲げた目標である輸入エネルギーへの依存低減、エネルギー効率を拡大しつつ環境改善を図れるエネルギー・ミックスの多様化などを実現するイニシアチブの1つ。DOEは試行錯誤しつつ昨年10月にその実施規則を最終決定し、新型原子炉開発を含むクリーン・エネルギー・プロジェクトについては融資額の最大100%まで、プロジェクト全コストの最大80%までを保証することとした。 発給までのプロセスは@申請Aプロジェクトの評価B貸付約定C最終承認および融資保証契約の締結−−の4段階で構成。クリーン・エネルギー・プロジェクトとしての選定基準については、大気汚染あるいは温室効果ガス排出を抑制・排除する効果、その技術を商業化できるまでの速さ、保証された債務の返済見通し、およびそれらの技術が市場で長期にわたって存続し得る可能性、などが挙げられている。 現在DOEは、エネルギー効率、再生可能エネルギーおよび化石燃料分野について招請した第1次の申請について、プロジェクトの評価作業中。この夏の終わり頃を目処に、先進的な化石燃料分野で80億ドルまでの融資を保証する第3次招請書を出状する予定である。同プログラムは2009年9月末が期限となっているため、DOEは09会計年度のエネルギー予算要求とは矛盾しないと説明している。 DOEの発表について米原子力エネルギー協会のR.マイヤーズ副理事長は、「エネルギー供給のさらなる保証と低炭素社会実現に向けた大きな一歩を踏み出した」と評価。これによって、企業は温室効果ガスを抑えるエネルギー源の開発を一層加速していくことになるとの見方を示した。また、同プログラムでは国民の税金から補助金を出すのではなく、民間企業が融資保証を受けるために連邦政府に保証コストを支払う仕組みとなっている点を強調した。 |