[原子力産業新聞] 2008年7月24日 第2438号 <1面>

ITERへの派遣増員を 原子力委・核融合部会 報告書案が固まる

原子力委員会の核融合専門部会(部会長=高村秀一・愛知工業大学教授)は、16日の会合で報告書案をほぼ固めた。トカマクではITERやBA(幅広いアプローチ)活動への取組み、ヘリカルやレーザーでは研究状況など、総じて適切と評価。一方で、ITER機構への派遣員の増員など、人材育成に対する取組みの強化を求めている。

ITERに関しては、文科省と原子力機構が国内研究の連携を含め着実に推進していると評価しているが、システム統合などの技術獲得には、現地で設計・建設に関ることが不可欠と指摘。ITER機構の日本人枠を有効に活用できていないことは課題であり、大学等の研究者の参加促進策が必要とした。

BA活動は実施体制が整備されつつあると評価する一方、韓国や中国でも超伝導トカマクが建設されることを考慮、これらの国との連携も検討する必要性を指摘。

ヘリカル方式では、世界的な研究成果や重水素実験の地元対応への取組みも適切と評価。核融合研と文科省は将来計画を十分検討すべきとしている。レーザー方式も高速点火などの研究成果を評価した上で、今後、レーザー核融合炉の実現性を判断するため炉工学研究を検討すべきなどとした。


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