[原子力産業新聞] 2008年7月24日 第2438号 <4面> |
金属内部を3次元探傷 日立製作所 配管保守作業に威力日立製作所はこのほど、数秒で厚さ200mm程度の金属内部を鮮明に、3次元映像表示できる超音波探傷システムを開発した。今後、原子力などの発電プラントの配管保守作業に利用する。 現在の超音波探傷技術は、超音波の入射方向を変えながら反射波形を観測して検査し、検査物の内部を2次元画像で観測する「フェーズドアレイ法」が主流。センサーに組込み超音波を発生する振動子の動作タイミングを電子的に制御し、超音波ビームを任意の方向に移動あるいは任意の位置に焦点を当て、検査物の内部を観測する。 このため検査物の内部全体の観測にはセンサー自体を移動し、複数の画像から評価する必要があり、検査に時間を要するという課題があった。 今回開発した「3次元超音波探傷システム」は、センサーを固定したまま、高感度の超音波送受信回路を256チャンネル用い、超音波ビームを3次元で高速走査し、その結果を数秒後に3次元映像として表示できる。検査対象に合わせた任意の3次元走査により、特定領域だけの検査も可能。また3D―CAD(コンピュータ支援による3次元設計)などの設計データと同時に表示でき、複雑な形状の検査対象でも傷の位置や寸法の評価が容易。 3次元走査では、各振動子の動作タイミングを制御する条件設定が複雑になるが、新システムでは3D―CADと連携した超音波伝播経路解析で設定も簡単という。 |