[原子力産業新聞] 2008年7月31日 第2439号 <2面> |
国際競争力強化に向け討論 東大G・COE東京大学は7日、本郷キャンパスで、「国際競争力ある大学の教育研究に向けて」と題する討論会を開催した。同学で実施する「グローバルCOEプログラム」活動の一環。冒頭、講演を行った安俊弘・カリフォルニア大学バークレー校原子力工学科教授は、世界の有力大学との競合をしのぐため、人事プロセスの透明・公平性、組織の水平性、総合的な評価システムなどにより、優秀な人材確保に力を入れる米国の現状を述べた。 文部科学省が全国大学に拠点を置いて推進する「グローバルCOEプログラム」は、それまでの「21世紀COEプログラム」に続き、「国際競争力ある大学作り」を目指す取組として、07年度にスタートした。東大のCOEプログラム「世界を先導する原子力教育研究イニシアティブ」の実施に携わる干場静夫教授は、これまでの活動が所期の目的にかなっていることを評価する一方で、今後の国際競争力強化のポイントとして、@ビジョンとリーダーシップA競争原理B質C人材確保D国際的活動――を掲げた。また、プログラムの目標として、「縦糸」となる「分野」と、「横糸」となる「仕組み」とを連携させるシステム改革をあげ、社会学も含めた総合的な原子力教育体系構築により具体化していく必要に言及した上で、「COEプログラムが終わった後が真のCOE」などと展望を述べた。 これに対して、関村直人・東大工学系研究科教授は、「これからどういう貢献ができるか、分析をしっかりすべき」と指摘したほか、自身が取り組む高経年化対策ロードマップ作りを例に、国、産業界、学協会との十分な連携の必要を訴えた。 また、近年、東大が原子力関連の学科・専攻名を度々変えてきた状況から、「『原子力は必要なんだ』と確固たるリーダーシップを示していかないと、国民も学生も社会もついてこない」などとする会場参加者からの声もあった。 |