[原子力産業新聞] 2008年8月7日 第2440号 <2面>

世界初のサイト統合保障 IAEA、東海研究センターに適用

IAEAの保障措置で、日本原子力研究開発機構の東海研究開発センターにある6つの核燃料サイクル施設が1日より、世界で初めて「サイト統合保障措置手法」の適用を受けることとなった。ランダム査察、遠隔監視技術、頻繁な施設情報の提供により、従来の保障措置効果を維持しながら、査察にかかる作業量を大幅に削減できる。

IAEAの統合保障措置は、利用可能な全ての保障措置手段を最適に組み合わせ、最大限の有効性・効率を目指すもので、未申告物質・活動が存在しないとの「結論」が導出された場合のみ、その国で実施される。日本では04年より順次、軽水炉、低濃縮ウラン燃料加工工場、使用済み燃料貯蔵施設、試験研究炉・臨界実験集合体等について、導入されてきていたが、この統合保障措置の対象をより拡大すべく、国・IAEAにより研究開発に取り組み、今回の「サイト統合保障措置手法」確立に至った。これにより、原子力機構東海センターの再処理施設、プルトニウム燃料製造施設など、6つの核燃料サイクル施設を一括したサイトとして、ランダムに査察を受ける。

同手法では、従来計画的に実施されていた査察がランダム化されることにより、受ける側の心理的緊張が維持できるほか、遠隔監視技術や頻繁な施設情報により核物質管理の透明性が向上する。

また、査察の回数・対象数が減ることで、国全体の査察作業量が約3分の2に軽減されるだけでなく、対象施設の運転に影響を与えないため、効率化も期待される。


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