[原子力産業新聞] 2008年8月21日 第2441号 <2面>

「抜け落ちない」処分体制を 文科省 研究施設廃棄物基本方針案

文部科学省に設置される「原子力分野の研究開発に関する委員会」の研究施設等廃棄物作業部会(主査=山名元・京都大学原子炉実験所教授)は8日、日本原子力研究開発機構が実施する低レベル放射性廃棄物埋設処分業務の基本方針案を固めた。近く、パブリックコメントを実施し、来月中にも策定される見通し。

その中で、対象となる放射性廃棄物の種類については、低レベル廃棄物のうちで、@原子力機構の業務に伴い発生したものA原子力機構以外の研究機関、大学、医療機関、民間企業等の原子力利用により発生し処分の委託を受けたもの――と明記した上、他の事業者と協力し、「わが国全体として、抜け落ちのない効率的な放射性廃棄物の処分体制の構築を図る」ことをうたっている。その上で、当面行う「第1期事業」では、2048年度までに発生が見込まれるトレンチとコンクリートピットの浅地中処分が可能なものを対象とし、地下50m以深の余裕深度処分相当の廃棄物については、今後の原子力利用の進捗を踏まえつつ検討を進めることとした。

処分地の選定については、透明性・公正を基本に据え、原子力機構が策定する処分実施計画で定められる選定の手続きと基準に照らして埋設施設立地候補を選定し、その地点の属する自治体の了解を得て決定することとしている。

また、処分に関する資金計画の策定、その定期的評価・見直し、それに基づく処分単価の設定、委託を受けた事業者からの確実な資金徴収の仕組み構築を原子力機構に求めているほか、機構設置法に定める通り、これら資金管理の区分経理も規定するなど、処分業務の独立性・透明性を基本方針にも明文化している。


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