[原子力産業新聞] 2008年8月21日 第2441号 <4面>

世界最高の分解能達成 J―PARC 中性子回折装置で

J―PARCセンターはこのほど、物質・生命科学実験施設に設置し、調整運転中の超高分解能粉末中性子回折装置が、世界最高の分解能0.037%を達成したことを確認した。

同実験施設は現在、中性子ビームを利用する10種類以上の各種解析装置や探査装置の建設が進められており、将来的には20種類以上の装置を設置する予定。

回折装置もこの中の1つで、粉末にした物質に様々な角度からパルス状の中性子を照射し、通過する中性子線の強さを解析、物質中の原子の位置や並びを調べる。これまで同種装置の分解能は、英国ラザフォード・アップルトン研究所の0.05%だったが、今回、機器調整過程で世界最高を達成、同装置の性能を実証した。

新たに開発した高性能パルス中性子源や100mの長尺ビームラインによる中性子輸送技術、高性能計測技術などを組み合わせた成果という。

回折装置の利用により、誘電性や磁性などの性質を持ち、電場によって物質の磁気的な性質を操作できるマルチフェロイック物質、高温超伝導物質などの微視的な解明が期待されている。


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