[原子力産業新聞] 2008年8月28日 第2442号 <1面>

国際協力 国が全面支援 国際戦略小委を新設 経産省 官民で協議会も設置へ

総合資源エネルギー調査会の原子力部会(部会長=田中知・東京大学院教授)が27日に開かれ、エネルギー安定供給や地球温暖化問題など最近の国際動向を踏まえ、日本の原子力産業の国際展開を前面に押し出し、(1)原子力発電導入・拡大国に対する基盤整備などへの支援や国際協力の積極的な推進(2)二国間協力協定などによる資機材移転の枠組みづくりや政府系金融機関の活用――などの国としての取り組み強化を打ち出した。

具体的には、同部会の下に「国際戦略検討小委員会」(小委員長=田中部会長)を設置して、わが国を取り巻く国際動向について分析を深め、今後の政策のあり方を議論していくことにした。委員は10名程度で構成し、10月に第1回目、11月以降数回開催して来春にも報告書を取りまとめる。

想定される主な論点としては、(1)新規導入国などへの支援のあり方(2)先進原子力利用国との国際連携のあり方(3)核不拡散に向けた国際的な枠組みづくりへの貢献のあり方(4)国際環境変化を見据えたわが国原子力産業の戦略的強化のあり方――などが挙げられている。

また、国内体制整備として、国主導で政府機関と産業界で協議会を設置し、情報共有、ノウハウの蓄積、人材活用などを進めるとしている。

経産省は、「4月に開催された原産年次大会での福田総理スピーチを皮切りに、その後の各種政府方針で、原子力を重要な地位に位置付け」したと総括している。

経産省はまた、国内的には既存発電所の稼働率向上、プルサーマル計画の推進、高レベル廃棄物処分場の立地に向けた調査、世界標準を獲得し得る次世代軽水炉開発など、「国の顔が見える真摯な取り組みの積み重ね」を行っていくことを強調した。


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