[原子力産業新聞] 2008年8月28日 第2442号 <1面> |
NSG合意に至らず 米国提案 インドへの原子力輸出で8月21日、22日にウィーンで開催された原子力供給国グループ(NSG)の会合では、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドを例外扱いとして原子力機器や原子燃料を供給できるようにする米国提案が、コンセンサス合意には至らず、9月初めに開く予定の次回会合に持ち越された。 外務省の藪中三十二事務次官は25日、東京の本省で記者会見し、日本の考え方を説明。(1)インドの戦略的な重要性――環境問題、気候変動を考えたときの原子力平和利用の重要性(2)インドはNPT未加盟で核実験を行った経緯もある――との二面性を挙げ、国際原子力機関(IAEA)からは、「今回の米印合意はインドのいろいろな核関連活動について透明性が増し、IAEAによる査察も大きく向上するもの」と説明を受けていることを明らかにした。 記者から、「基本的にインドと米国の協力で、NPT体制の例外を認めるという立場と理解していいか」と問われたの対し、同次官は「交渉ごとなので、それ以上は言えないが、日本としては不拡散NPT体制の立場もあり、そこをどうバランスを取るのかということで、現在、国際的に話し合っているところだ」と述べた。 NSGは現在、日本を含む45か国からなり、IAEA理事国35か国のうち19か国がNSGメンバー国でもある。8月1日に開かれたIAEA理事会では、インドの民生用原子力施設に対するIAEAとの保障措置協定をコンセンサス合意で承認したものの、理事国であってもオーストリアのように、NSGの場で無条件でインドへの輸出を認める米国提案に賛成するかどうかは全く別物との姿勢を示している国もある。 NSGの現在の輸出指針では、5核兵器国以外へはIAEAのフルスコープ保障措置受入れを輸出承認の条件としているが、今回の米国提案はNPT未加盟国のインドに対して、実質的に核保有国として認め、例外的に部分的保障措置の適用で輸出できるようにすることを求めている。 |