[原子力産業新聞] 2008年9月4日 第2443号 <3面>

レタスとホウレン草 食品照射認可 米FDA 食中毒防止で対応急ぐ

米国の食品医薬品局(FDA)は8月21日、生の玉レタスとホウレン草への放射線照射を認可すると発表した。様々な審査の結果、放射線照射が両品目の安全性に悪影響を及ぼすことはないと断定し、病原菌の制御と保存期間の延長を目的とした最大4キログレイまでの電離放射線照射が可能になるよう食品添加物規制を改定する最終規則を提案したもの。FDAは9月22日までの30日間に限り一般からのコメントを受け付けているが、同規則は8月22日付けで直ちに発効している。

今回の規則改定は2000年に国家食品加工業者協会(現在の食料品製造業者協会)が食品照射連合に代わって提出した請願の一部に応えた形。当初の請願品目は加工前の食肉や生鮮野菜など多岐にわたっていたが、米国では06年9月、生ホウレン草に付着していた病原性大腸菌により205名が食中毒を発症、3名が死亡するという事件が発生しており、同協会では昨年12月に急遽、請願品目をレタスとホウレン草に絞って申請し直したという経緯がある。今回、これら2品目に対する放射線照射が可能となったが、残りの請願品目については現在もFDAによる審査が続けられている。

なお、米国では今年5月以降、3種類の生トマトが原因と見られるサルモネラ菌中毒患者が36州およびワシントンDCで800名以上発生しており、過去最悪の食中毒事件に発展するとの懸念が広がっている。大手ファーストフード・チェーンでも予防措置として生トマトの提供を一時的に自粛しており、FDAでは生鮮野菜全般に対する病原菌抑制目的の放射線照射認可を急いでいる。


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