[原子力産業新聞] 2008年9月11日 第2444号 <3面>

韓国 2030年までのエネルギー計画策定 10基新設、シェア6割に

韓国政府は8月27日、原子力発電と再生可能エネルギーの拡大を骨子とする「第1次国家エネルギー基本計画」を決定し、2030年までに新たな原子炉を10基建設して原子力による発電量シェアを59%まで引き上げる計画であることを明らかにした。

この計画は同日、青瓦台で開催された第3回国家エネルギー委員会(委員長=李明博大統領)で審議されたもの。20年単位の長期エネルギー戦略が策定されたのは韓国建国以来初めてのこと。主な特徴としては韓国のエネルギー関連の様々な計画についての原則と方向性を提示しているほか、温室効果ガス排出を抑えるグリーン・エネルギー産業の成長をエネルギー部門から後押し。従来の安全供給を中心とする政策と異なり、強力な節減目標を提示して、環境と効率と安全保障といった政策目標を考慮した最適の長期エネルギー供給ミックスを導き出したとしている。

原子力に関する記述ではまず、「過去25年間で消費者物価が186%上昇しているのに対し、電気料金が11.4%の上昇にとどまっているのは原子力発電が安く安全に電力を供給してきたから」と指摘。韓国経済における石油依存とエネルギー輸入負担を緩和し、安価な電気を安全に供給するために大きく貢献してきたと高く評価しており、今後も原油価格の高騰と温室効果ガス削減に対応するために原子力の役割強化は避けられない選択だ、との見解を表明している。

2030年までの計画としては、発電設備全体に占める原子力の設備容量を2007年実績の26%から41%に、発電量のシェアも36%から59%に上昇させるとしており、具体的には140万kW級の原子炉を新たに10基建設するとしている。

これらのための用地は2010年までに確保する計画だが、原子力増設による地域住民の反発と不安を払拭するために、「地域共存型の原子力発電所建設」と名付けた政策の実施を提案。原子力発電所の誘致によって周辺地域が直接優遇措置を受けられるよう支援事業を改善していくことを検討しており、原子力発電所を誘致したいという地域を中心に、地域に見合った発電事業と一体化して政策を推進すると説明している。

また、使用済み燃料の処分問題についても、民主的かつ透明な協議という手順を経て、最終的な解決に向けた準備を進める方針だ。このほか同計画では、原子力を輸出産業に育成するために、次世代型原子炉(APR+)の技術開発を当初計画の2015年から12年に前倒しすることも明らかにしている。


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