[原子力産業新聞] 2008年9月18日 第2445号 <2面>

設置許可審査に一本化を 法制検討会 分科会検討状況を報告

日本原子力学会は第2回「原子力法制の在り方検討委員会」(略称=原子力法制検討会、委員長=班目春樹・東京大学院教授)を9月10日、東京都内で開催した(=写真)。

班目委員長は、「東京大学の場で先行的に発足して検討している『原子力法制研究会』の下にある2つの分科会『技術と法の構造分科会』と『社会と法制度設計分科会』の合同会議はこの場をかりて行いたい」と挨拶した。

「技術と法」の検討状況を説明した西脇由弘幹事は、昨年6月に我が国が受け入れた国際原子力機関(IAEA)の総合規制評価サービス(IRRS)のねらいや評価結果などを紹介した後、IRRS勧告と同研究会報告との対比を検証した。

次いで、「工認・使用前や燃料等を巡る基本的考え」を説明。技術から見た規制について、「事業者は、法律上の被規制者という立場からではなく、技術を熟知している者として、技術のより良き実現の観点から、法や制度の改善を求めるべきではないか」と主張した。

また、すでに50基以上の原子力発電所の設計・建設、40年以上の運転実績を元に、技術の定着化などの動向を踏まえ、検査における不合格事象がほとんどないなどの実績に基づき、検査サンプリング数や検査対象・頻度の見直しや、事後検査型とするなどの検査方法について再検討すべき、との見解を示した。

基本設計と詳細設計の関係では、「設計の審査を2段階で行う必要がないのであれば、設置許可との整合性の観点からも、具体的な設計の承認は設置許可の審査に吸収されるべきではないか」との考えを示した。

「社会と法」の検討状況を報告した城山英明副委員長は、立地プロセスが良好に進むためには、(1)受入れる地域が判断するまでの時間的な余裕(2)判断するに当っての公的機関による適正調査結果の有無(3)国・県が一体となって立地推進の姿勢を見せること――が必要だとした。

地元自治体と事業者が締結している安全協定については、(1)安全協定の歴史的・社会的文脈が、原子力に関わるステークホルダーの間で理解・共有されていない(2)安全協定の存在および制度としての役割を、地域住民が十分には理解していない(3)国と自治体の制度的な役割分担を再検討し、安全協定の法制度的な位置づけを考えるべき――などと指摘した。

電気事業者からは、高橋祐治・電事連原子力部長が状況報告として、法制度検討の大前提として、規制制度の改善によるさらなる安全性・信頼性の向上を目指し、今後の制度改善として、ハード中心から運転段階の規制を重視していく考え方を示し、具体的な例として工事計画認可における構造・強度評価の見直しの方向性を説明した。

検討会は年2回程度の開催を考え、次回は来年3月を予定している。


Copyright (C) 2008 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.