[原子力産業新聞] 2008年9月18日 第2445号 <3面>

ウェスチングハウス社 AP1000建設戦略で 英の3供給業者と契約

ウェスチングハウス社(WH)は4日、英国にAP1000を立地させ、建設作業を共同で進めるため、初めて英国のエンジニアリング企業や大型機器製造業者など3社と協定を結んだと発表した。

これは「建設資機材は現地で購入」という同社の戦略の一環として結ばれたもの。AP1000の建設に必要な工事やサービスの7〜8割を英国のサプライ・チェーンで調達し、英国にとって有益な雇用を確保するというプロセスの中の重要な出来事に位置づけられると説明している。

今回、この戦略の先駆けとなったのが、世界でも有数の防衛航空宇宙企業であるBAEシステムズ、高級車メーカーとして知られるロールス・ロイス社、および火力と原子力関連のサービス企業である斗山バブコック社の3社。それぞれの作業協力分野が異なるためWH社は3社毎に了解覚書(MOU)を交わしているが、共通するのは、(1)モジュールの設計、生産、製造、および統合(2)英国における供給基盤の構築(3)機器の現地組立て、および据付け(4)原子炉の起動支援(5)原子力機器の製造(6)安全および技術面の支援――だとしている。

新たな原子力発電所を建設する際、現地のサプライ・チェーンを活用するという手法はWH社独特のもので、すでに中国から受注したAP1000の4基のうち、最初の2基でこの手法を取るなど実績を残しつつある。

同社のA.キャンドリス社長兼CEOも、「当社は英国の規制当局に初めて申請書を提出した原子炉設計企業であり、今日、初めて英国の原子力サプライ・チェーンの大手企業と協定を結ぶことが出来たことは大変喜ばしい」との見解を表明。今後一層、このチェーンとの関わりを深めていきたいとの抱負を述べた。

なお同社はこのほか、中国のAP1000建設関連で、英国のトータル・エンジニアリング企業であるシェフィールド・フォージマスターズ社が冷却材ポンプの鋳造ですでに重要な役割を果たしつつあることを明らかにした。


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