[原子力産業新聞] 2008年10月2日 第2447号 <2面>

原子力委核融合部会 報告書案まとまる 人材確保や情報発信を

原子力委員会の核融合専門部会(部会長=高村秀一・愛知工業大学教授)は9月25日の会合で、研究開発の進捗の評価や今後の方策などを示した報告書案を取りまとめた。近くパブコメに付す予定。

報告書案はトカマク方式、ヘリカル型、レーザー型の各技術の研究開発の進捗状況を評価するとともに、同研究開発を維持・発展させるための人材育成、知識・情報基盤の整備に関して今後の方策などを示している。

トカマク方式の中核であるITERやBA活動は、計画が着実に進展していると評価したが、ITER計画に参画する優秀な人材の確保や、国内でノウハウが確保できる体制が必要と強調。テストブランケットモジュール(TBM)計画への取組みも重要としている。

ヘリカル、レーザー方式は核融合の選択肢を拡げる観点から着実に研究開発が実施されていると評価した上で、文科省は研究の進捗状況を踏まえ適切な時期に可能性を評価、計画の進め方を検討すべきで、炉工学基盤研究の強化も必要とした。

研究開発体制では、今後多くの研究者が必要になるため、人材を核融合コミュニティだけで賄うのは困難と指摘し、関連する科学技術分野との連携や協力を視野に入れた戦略的な方策の構築が必要とした。こうした人材確保や連携からも核融合に関する社会への情報発信の拡充を求めている。

次段階への移行の判断は、ITER機構発足後約10年としており、関係機関は原型炉への移行条件を達成するための各種施策を推進すべきと要請している。


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